美術館内観
常楽寺の収蔵品を展示
常楽寺は、天台宗別格本山で、北向観世音【きたむきかんぜおん】の本坊です。天長2(825)年に建立された古刹で、境内にある石造の多宝塔は、国の重要文化財に指定されています。現在の本堂は江戸時代中期に建てられたもので、寄棟造【よせむねづくり】・茅葺【かやぶき】の建物です。
その常楽寺境内の池のほとりに建つ美術館で、寺にゆかりの美術品、北向観世音堂に奉納された絵馬などを収蔵し、展示しています。
館内には、奈良・平安時代~江戸時代の日本の瓦、棟方志功【むなかたしこう】(1903~1975)の版画、室町時代の阿弥陀如来・中国宋時代の観音菩薩の木像、北原白秋の自筆の原稿などが展示されています。特に徳川家康の書は6段、110行に「南無阿弥陀仏」の文字が書写されたもので、慶長17(1612)年の作といわれています。
厄除け観音として名高い北向観音
北向観音として親しまれている北向観世音堂は、本堂が北に向いている全国でも珍しい霊場です。長野市の善光寺が来世の利益、北向観音が現世の利益をもたらすということで、両方を参拝しなければ「片参り」になってしまうといわれます。境内の愛染堂【あいぜんどう】の近くには、縁結びの霊木として崇められている「愛染かつら」の巨木があります。
観音菩薩像(木造彩色 中国・宋時代)
北斎筆 劉備壇渓渡河図(上田市指定文化財)