場所:伊那市立高遠町歴史博物館 開催期間:2020-09-12〜2020-12-06 お問い合わせ:0265-94-4444
「たかとほは 山裾のまち 古きまち ゆきあふ子等の うつくしき町」と田山花袋が詠んだ高遠は歴史と文化を大切にする町です。花袋が高遠や大奥絵島について短歌を詠み、「山を越えて伊那へ」、「伊那の旅」という随筆の中で紹介したことにより、多くの作家が高遠城と絵島の墓を訪ね、様々な作品をのこしました。高遠出身の小説家島村利正もその一人でした。
そもそも、江戸時代の高遠藩では、藩主や藩士が和歌や漢詩をたしなんだほか、実に多くの人が俳諧を楽しみました。
特に俳諧は和歌ほど難しくはなく、普段の暮らしの中から詠むことができたため、江戸時代後期に医者で儒者の中村伯先【はくせん】と高遠藩士青山哂我【しんが】が蕉風俳諧の火付け役となり、身分にかかわらず広まっていきました。幕末には領内各地で句会が開かれ、放浪の俳諧師井月【せいげつ】とも交流し、精力的に作品をのこしました。こうして俳諧は上伊那の地域性を表す文化とも言えるまでに発展したのです。明治以降も俳諧は伝統的な蕉風俳諧を踏襲しましたが、大正から昭和にかけて前田若水が荻原井泉水や種田山頭火らと交流して自由律俳句を残したことで新傾向の俳句も注目されました。
和歌・俳諧は時代とともに、短歌・俳句に変わっていき、現在では公民館等のサークル活動に受け継がれています。
今回の展示では高遠にゆかりのある人々の文学的な作品を歴史的な流れに沿って取り上げています。屏風、掛軸、短冊に書かれた作品、文学碑になった作品を鑑賞し、作品が生み出された背景を想像しながら、文学的な作品から見えてくる地域の魅力を感じていただけたらと思います。
会期:令和2年9月12日(土)~令和2年12月6日(日)
会場:伊那市立高遠町歴史博物館 2階 第3展示室
開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:9月14日・23日・28日、10月5日・12日・19日・26日、11月4日・16日・24日・25日・30日
入館料:大人400円(20名以上の団体は1人につき300円)、高校生以下あるいは18歳未満は無料
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳等をお持ちの方と付き添いの方1名は入館料を免除
主催:伊那市教育委員会・伊那市立高遠町歴史博物館
協力:伊那市立高遠町図書館・伊那市創造館ほか