場所:北斎館 開催期間:2022-04-02〜2022-06-12 お問い合わせ:026-247-5206
読本挿絵を数多く手掛けた葛飾北斎(1760~1849)。その北斎と読本を通じて深い親交を持った戯作者が二人いました。それが曲亭馬琴(1767~1848)と柳亭種彦(1783~1842)です。北斎は二人が執筆した物語の挿絵を描き、生み出された作品は文化年間初頭に興った読本ブームを代表する傑作になりました。
馬琴は北斎と最も多くの作品でタッグを組んだ戯作者です。その関係は寛政4年(1807)に刊行された伝奇物語『椿説弓張月』で、その反響を受けた馬琴と北斎はクリエイターとして地位を不動のものとしました。プライベートにおいても馬琴は北斎を自身の家に居候させるなど、二人は互いの実力を認め合う仲でしたが、挿絵の意見が合わず対立することも度々あり、その関係は次第に疎遠になっていきます。
一方、種彦が北斎とタッグを組むのは文化5年(1808)頃。種彦の才能を認めた北斎は、処女作『近世怪談霜夜星』で新人作家に対する挿絵とは思えない豪快かつ大胆な絵を描きました。また両者の年齢差は親子ほどもありましたが公私ともに親しく、種彦の日記には北斎と一日中遊ぶなど、頻繁に交流していたことがわかっています。
本展では北斎が挿絵を提供した馬琴と種彦、それぞれの作品と挿絵を紹介するとともに北斎との関係や逸話などをご紹介します。絵師と戯作者、読本によって結ばれた縁がどのような作品を残したのか。ぜひご覧ください。