場所:北斎館 開催期間:2022-06-18〜2022-08-28 お問い合わせ:026-247-5206
昭和51年(1976)11月、長野県北部の町に小さな美術館が開館しました。その美術館は葛飾北斎の専門美術館に因んで「北斎館」と命名され、現在では「栗と北斎と花の町 小布施」を称する小布施町の象徴となる美術館になりました。
北斎が初めて小布施を訪ねたのは天保13年(1842)といわれています。小布施の豪商であり門弟の高井鴻山を訪ねた北斎は、当時印半纏に麻裏草履で職人のような恰好だったといいます。鴻山はそんな北斎を暖かく迎え入れ、後に碧漪軒(へきいけん)というアトリエを設けて北斎の制作活動を支えました。理想的な環境の中で、北斎は東町・上町の祭屋台天井絵をはじめ、小布施で多くの肉筆画を制作したといわれています。
北斎館は開館以降、肉筆画を中心に年々所蔵品を増やしてきました。中でも最晩年の名品「富士越龍」は北斎亡きあと、鴻山が入手したのちに転々とし、北斎館が海外から買い戻したという里帰りの作品です。雄大な富士と駆け上がる龍の姿から北斎自身を照らし出した作品とも考えられる逸品です。また肉筆画だけでなく「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』などの所蔵作品は、今日の世界的な評価からお宝といっても過言ではありません。
本展では北斎館がこれまで蒐集してきた肉筆画や版画、版本などの作品群から名品とされるものを一堂にご紹介します。半世紀近い歴史をもつ北斎館の名品をぜひこの機会にご覧ください。