場所:北斎館 開催期間:2022-11-19〜2023-01-15 お問い合わせ:026-247-5206
この展覧会は、葛飾北斎の読本挿絵作品の中で最長の巻数を誇る大作『新編水滸画伝』を専門的にご紹介する展覧会です。
「水滸伝」は中国明の時代に書かれた長編小説で、「三国志演義」「西遊記」「金瓶梅」とともに四大奇書のひとつに数えられています。宋の皇帝、徽宗(きそう)の時代、盗賊団を率いる宋江を中心とした百八人の豪傑が梁山泊に集い活躍する物語を描いています。日本では江戸時代中期になると岡島冠山が翻訳した『通俗忠義水滸伝』をもとに多くの翻訳本が生み出されました。戯作者の曲亭馬琴・高井蘭山が編訳し、葛飾北斎が挿絵を描いた『新編水滸画伝』もその一つでした。
『新編水滸画伝』は文化二(1805)年から出版された九編全九十一冊からなる長編読本作品です。「画伝」とあるように、それまでの文字による翻訳本とは違い多くの挿絵が加えられたことにより各場面をイメージしやすく、また緊張感あふれる場面は読者を大いに楽しませました。中でも序盤の挿絵、伏魔殿に封印されていた魔物が放出される場面は北斎の大胆な発想力と構成力が見事に表現された一図です。放射状に放たれる光の中に群魔が潜み、それに驚く人々の姿がリアルかつ劇的に描かれています。
本展では水滸伝の壮大なストーリーを紐解く北斎の挿絵を多数展示します。馬琴や蘭山の文章を基に北斎によって視覚化された水滸伝の世界、そのキャラクターや情景をこの機会にぜひお楽しみください。