場所:八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館) 開催期間:2023-04-01〜2023-06-11 お問い合わせ:八ヶ岳美術館 原村歴史民俗資料館 TEL/FAX 0266-74-2701 〒391-0115 長野県諏訪郡原村17217-1611
岩波其残(1815-1894)は文出村(現・諏訪市豊田文出)生まれの俳人・画人で、久保島若人に学んだ俳句、温かなユーモアにあふれた視点で人々の営みを捉えた俳画や楽焼、諏訪の名所を紹介した明治時代の旅行ガイドブックの先駆け『諏訪土産』のさし絵で知られています。幼いころから文筆と諸芸に長けていた其残は、のちに妻となる美智とともに彼女の郷里 尾張を始め北は奥州、南は九州など幕末の日本全国を巡り、各地の風景を画帳に写生、写真技術を初めて諏訪にもたらすなど、見聞を諏訪に伝えました。長旅を終えて帰郷したのちは、諏訪の風物や人物を題材とした句集・俳画集を出版、俳画を描き、軽妙な画風は現在も人々に愛されています。優れた楽焼は明治時代、来日したエドワード・モースに見出されて米国に渡り、ボストン美術館の陶器コレクションに収蔵されました。其残の評伝を書いた小平雪人も絶賛した同形の《楽焼 獅子香炉》がこのたび諏訪市豊田の江音寺で発見され初公開となります。
幕末・明治に活躍した渡辺雪湖や諏訪に移り住んだ長崎派の天龍道人、小池龍湖と原村の五味龍洲など諏訪文人画の画家たちの作品とともに、激動の時代を生き、芸術に表現した其残の世界をご紹介いたします。
関連イベント
1.講演「其残と原村の俳人~幕末・明治 スモールワールドへの誘い~」
新発見の諏訪市博物館蔵 俳諧図屏風の解釈・位置づけと、さらに天龍道人・小池龍湖・岩波其残の作品から見えてくる俳人ネットワークの広がりについてお話します。
講 師:山田昭彦(岩波其残研究家)
日 時:5月6日(土) 13:30~15:00
2. .講演「岩波其残をとりまく人々 ~渡辺雪湖と国学~」
岩波其残の芸術を育んだ幕末諏訪の芸術(長崎派・文晁派・俳画の系譜)、其残の絵画が影響を与えた明治時代の諏訪の文人画家の作品について、彼らの思想的源流となった国学と渡辺雪湖との関係から紹介します。
講 師:宮坂春夫(岡谷市郷土学習館)
日 時:5月21日(日) 13:30~15:00
3. はらむら塾講演「原村の五味龍洲 ~岩波其残の周辺画家~」
岩波其残の句友である小池龍湖や長崎派の画家天龍道人など、其残と交流のあった文人たちの足跡をしのびながら原村の五味龍洲に光をあてます。
講 師:五味光亮(五味龍洲 孫/株式会社 イツミ 会長)
日 時:6月8日(木) 13:30~15:00
■作家プロフィール 岩波其残(いわなみ・きざん)
岩波其残(1815-1894/文化12~明治27年)は、文化12年活躍した俳人・画人で、文出村(現・諏訪市豊田文出)の山田家に生まれ、髙島藩士の久保島若人に学んだ俳句とともに、京都四条派の岡本豊彦の流派に学んだ絵画、与謝蕪村や松村月渓らの画風に学んだ俳画や松野由介に学び各地に残る楽焼、諏訪の名所を紹介した明治時代の旅行ガイドブック『諏訪土産』のさし絵で知られています。