夏季特別展 「生誕100年記念 遠藤周作展―『沈黙』から『深い河』まで―」 Shusaku Endo 100th Anniversary Exhibition From “Silence”to “Deep River”

場所:軽井沢高原文庫   開催期間:2023-07-15〜2023-10-01  お問い合わせ:0267-45-1175

戦後日本を代表する作家の一人、遠藤周作(1923~1996)は、今年生誕100年を迎えます。没後四半世紀を経た現在も、多くのファンに愛され続け、新たな読者を獲得しています。また、代表作の一つ『沈黙』は2016年、ハリウッドで映画化されるなど、遠藤文学は国内外を問わず、新鮮な感動を与え続けています。
遠藤周作は1923年、東京に生れ、幼年期を旧満州・大連で過ごし、神戸に帰国後、12歳でカトリックの洗礼を受けました。慶應大学仏文科を卒業後、フランスに留学。帰国後、1955年「白い人」で芥川賞を受賞。その後、『海と毒薬』『沈黙』『死海のほとり』『侍』『深い河』など、問題作を次々と発表し、カトリック作家として、日本人とキリスト教の問題を深く追求しました。また、純文学作品だけでなく、『女の一生』などの大衆文芸作品、『王妃マリー・アントワネット』などの娯楽性に富んだ歴史小説、狐狸庵(こりあん)ものと呼ばれる軽妙なエッセイなど、非常に多方面にわたる著作も残し、国民的作家として長く親しまれました。1995年、文化勲章受章。
遊びとユーモアの感覚に富み、人生を楽しむことを心がけた遠藤は、執筆の傍ら、自ら座長となった素人劇団「樹座(きざ)」や、父親コーラスクラブ「コール・パパス」、囲碁の「宇宙棋院」などを次々と立ち上げました。また、「日本キリスト教芸術センター」、医療現場でのケアの向上を目指す「心あたたかな医療」キャンペーンといった社会活動も行い、遊びや交流を通じて、心豊かに生きる人生の在り方を問い続けました。
遠藤周作と軽井沢のつながりは、慶応予科時代、学生寮の舎監を務めていた哲学者・吉満義彦に堀辰雄を紹介されたことがきっかけでした。1944年、遠藤は信濃追分に療養中の堀を度々訪ね、西洋人の神と日本人の神々との問題や、絶えざる勉強という作家の姿勢などを学びました。1958年からは療養を兼ねて軽井沢に貸別荘を借り、1968年には別荘を新築し、以後晩年まで毎夏軽井沢で執筆活動を行いました。その間、1965年に六本辻角の元病院を別荘として借りて過ごし、「沈黙」(原題「日向の匂い」)の初稿を書きあげました。遠藤は「軽井沢は人生で、東京は生活」と語り、北杜夫、矢代静一、中村真一郎、大原富枝、加賀乙彦、佐藤朔ら、軽井沢で親しい文学者たちと交遊を深め、豊かな時を過ごしました。
本展は、遠藤周作の生誕100年を機に、夏の仕事場のあったゆかりの地において、主要作品や軽井沢との関わりなどを中心に、遠藤周作の人と文学を紹介しようとするものです。自筆原稿や創作ノート、書簡、蔵書、絵画、愛用品など関係資料約200点を展観いたします。

<関連イベント>
■高原文庫の会
「遠藤周作さんの思い出」
お話:阿川佐和子(作家・エッセイスト)
日時:8月5日(土)午後2時~
会場:軽井沢高原文庫中庭
料金:2500円/学生・友の会会員2000円 
定員:100名
(※高原文庫の会参加者へ夏季特別展に合わせて刊行した「高原文庫」第38号を1冊贈呈)

■高原の文学サロン
「映画「沈黙」(監督:M.スコセッシ)での経験を語る」
講師:塚本晋也(映画監督・俳優)
日時:8月19日(土)午後2時~
会場:軽井沢高原文庫中庭
料金:一般2000円/学生・友の会会員1500円
定員:50名

※2つのイベントは要予約。料金には遠藤周作展観覧料も含まれています。
Eメール(e-mail:kogenbunko@yahoo.co.jp)FAX(0267-45‐6626)でお申し込みください。

<関連展示>
■「文学者の手紙展」
2023年8月1日(火)~8月31日(木)
会場:旧朝吹山荘「睡鳩荘」(軽井沢高原文庫より徒歩3分)
料金:軽井沢タリアセン入園料が必要(大人800円、小人400円)
片山廣子、堀辰雄、室生犀星、川端康成、島崎藤村ら文学者の貴重な手紙を紹介します。

■「切手に描かれたチョウたち」展
2023年9月5日(火)~11月12日(日)
会場:堀辰雄1412番山荘(軽井沢高原文庫敷地内)
料金:軽井沢高原文庫の入館料が必要。
内容:今回の人文的昆虫展は『切手に描かれたチョウたち』と題し、標本箱を約22箱、A3サイズの額縁33枚ほかを紹介します。
協力:新部公亮氏

〈次回企画展〉
「軽井沢の文豪たちに逢いに行く」
10月5日(木)〜11月30日(木) 会期中無休
明治末から昭和後期にいたる軽井沢ゆかりの文学者約70人の、軽井沢を舞台にした詩・小説・随筆・俳句・短歌・戯曲などを、初版本や自筆原稿など多彩な資料約200点で紹介します。


軽井沢高原文庫 
THE LITERARY MUSEUM OF KARUIZAWA
開館時間:9:00~17:00
料金:大人(高校生以上)800円、小中学生400円 
(入館料には堀辰雄1412番山荘、有島武郎別荘「浄月庵」、野上弥生子書斎の見学も含まれています。) 
長野県北佐久郡軽井沢町長倉202-3 TEL0267-45-1175 Fax.0267-45-6626
http://kogenbunko.jp  〒389-0111

□交通:JR北陸新幹線・軽井沢駅、または、しなの鉄道・中軽井沢駅下車、タクシー約8分
上信越自動車道・碓氷軽井沢.I.C.より車で15分。
※会期中、次のバスが運行いたしますのでご利用ください。
〈急行塩沢湖線〉通年「軽井沢駅北口バスターミナル④番」→「塩沢湖」下車(有料420円)
〈町内循環バス(東・南廻り線)〉通年「軽井沢駅北口バスターミナル①番」→「塩沢湖」下車(有料100円)

※展覧会&イベントにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、変更になる場合がございます。何卒ご了承ください。

会期中無休
2022.12/1~2023.3/17 冬季休館