場所:絵本美術館&コテージ森のおうち 開催期間:2024-01-26〜2024-04-08 お問い合わせ:絵本美術館 森のおうち TEL0263-83-5670
おかげさまで2024年4月に、当館は開館30周年を迎えます。その記念すべき年の始めの企画展として1月26日(金)~4月8日(月)の期間「豊福まきこ『おくりもの』絵本原画展」、「江口みつおき 詩画集『風の伝言』原画展」、「バーナデット・ワッツ所蔵絵本原画展」の3タイトルを同時展示として開催致します。
「バーナデット・ワッツ所蔵絵本原画展」では、イギリスの絵本作家バーナデット・ワッツが描いた『マッチ売りの少女』や、『くつやのマルチン』(トルストイ民話、西村書店版)、クリスマスにちなんだお話など、1980年代初版本を中心にした優しく繊細な作品を展示します。
特に、バーナデット・ワッツが描いたアンデルセン童話の絵本『マッチ売りの少女』は、1883年にドイツとイギリスで出版されました。ブルーの色調が美しく幻想的に描かれたこの作品は、残念ながら日本語の翻訳本は出版されていません。
では、なぜ森のおうちに原画があるのでしょう。
「絵本美術館 森のおうち」は、1994年に、名誉館長・酒井倫子の「児童文化の世界を通じて多くの人々と心豊かに集いあい、交流しあい、未来に私たちの夢をつないでゆきたい」という願いで開館しました。
木造の温かさを活かした建物は、酒井の弟が建築したものです。
戦後の混乱を苦労しながら生き抜いた姉弟です。
姉の美術館への夢が実現するとなった頃に、この原画が手に入る機会が巡ってきた際、弟が「僕が買っておこう」と決断。
オープニング展では『マッチ売りの少女』の絵が印刷されたリーフレットを見て、涙を流さんばかりに「姉貴よ、マッチ売りの少女は、なぜ死んだ?これからはこういう悲しい子は出してはいけないんだ!」と言ったとのことです。
姉・酒井は「自分の夢を姉と共に実現した弟の、本当にやさしい心からの言葉であったように思われます。全世界の子どもたちが仕合わせに冬をすごすことができますようにとの祈りもあるのです」とこの原画を大切に、館を運営してきました。
生活費のために原画を売らざるをえなかったワッツ、世界の子どもたちに想いを馳せて所蔵する当館。アンデルセン童話の魅力だけでなく、様々な想いが込められた原画です。
【展示作品】
『マッチ売りの少女』アンデルセン/作(イギリス・ドイツ版のみ)
『くつやのマルチン』トルストイ民話
『こまったクリスマス』R.ジョンソン/文
『リサの小さなともだち』ジョック・カール/作
『つぐみひげの王さま』グリム童話 (以上4作、西村書店)
※すべて抜粋